在宅緩和ケア・お看取り

在宅緩和ケアについて

「在宅緩和ケア」は単に痛みを少なくするだけの処置ではありません。ご本人やご家族と相談しながら、心体的な苦痛や精神的な苦痛、時にはスピリチュアルな面も踏まえて、あらゆる苦痛を緩和することを目指します。そのため、患者様が望むことに寄り添う姿勢が欠かせません。
また当院では、住み慣れたご自宅で最期の時を迎えたいと思う方への「在宅看取り」も行っていますので、希望される場合はご相談ください。

在宅緩和ケアの内容

身体的ケア

「身体的ケア」は名称が示す通り、疾患などで身体に現れる苦痛を緩和する処置です。ケアの中心は投薬で、それぞれの方の苦痛に応じて処方をコントロールしながら、「死」に向かう中でできるだけ苦痛が無いように対処します。
この時期には口からの栄養補給が難しくなる場合も少なくありません。その際には、延命治療としての栄養補給を続けるかどうか、ご本人またはご家族と相談いたします。栄養補給を望まれる場合も、出来るだけ自然に口から取れる分だけを取る選択肢もありますし、鼻または胃に管を挿入することもあります。また、点滴によって栄養供給することも可能です。
さらに、栄養補給以外にも、ご本人やご家族のストレスを増やさないために、移動や着替え、排泄や衛生面への配慮も欠かすことができません。床ずれを防止することや誤嚥性肺炎を防ぐことなどにも注意を払います。患者様が女性である場合は、メイクをするなどしてご本人の尊厳を守り、少しでも明るい気持ちになっていただけるように心がけています。

社会的ケア

患者様の中には、「ご家族に経済的負担をかけたくない」と願う方も少なからずいらっしゃいます。そのような場合、ソーシャルワーカー様をはじめとする医療費の仕組みや制度に精通した方と連携しながら、かかる費用を低減する取り組みを一緒に行っていきましょう。
また、一家の収入を支えてきた方が、「家族に養われている」とネガティブな気持ちになって、自己肯定感が低下する例も見られます。精神的負荷が増えるとさまざまな点で苦しさが増すので、ネガティブな気持ちになっていないかを確認しながら介護にあたることも重要です。

精神的ケア

「死」に向かう際には、誰もが不安や恐怖を感じますし、それまでより心残りなことが増して感じられる方も見られます。終末期には一日のほとんどをベッド上で過ごすことが多いことも気持ちが沈みがちになる要因となり得ます。そのため、出来るだけ患者様が孤独感に襲われないこと、気分転換やリラックスできることなどを心がけてください。
ご家族としては「死」を意識させない、認めたくないという気持ちになることもあるでしょうが、「死」への不安に一緒に向き合える存在があることも、ご本人にとって助けになる場合があることをご記憶ください。